あのマリーとエリーが帰ってきた! みんなの夢をかなえるために!

〜プロローグ〜

 城塞都市ザールブルグにある王立魔術学校「アカデミー」は錬金術士の卵たちの学舎。
 このアカデミーを卒業し、晴れて錬金術士となったふたりの生徒がいました。

 ひとりは、マルローネ。
 アカデミー創立以来、最低の成績で卒業もままならなかった生徒。
 しかし、5年にも及ぶ卒業試験を通じ
彼女のうちに隠された才能はめきめきと頭角を現し、ついに試験に合格。
マルローネは広い世界で研究を続けるためにザールブルグから旅立って行きました。

 もうひとりは、エルフィール・トラウム。
 命を助けてくれたマルローネに憧れて、錬金術士を志すようになった少女。
 入学当初は錬金術の知識などなかった少女も、たゆまぬ努力によってみるみる力をつけます。
やがてアカデミーの研究機関マイスターランクへと進む資格を得るほど
実力を持つにいたったエルフィールでしたが、
研究生活よりも人々の暮らしの役に立ちたいと考えた彼女はあえて卒業という道を選んだのでした。

 アカデミーを卒業したエルフィールは、錬金術のはじまりを知ろうと、
錬金術士たちの故郷ケントニスへと向かいました。
 そこで待っていたのはマルローネとの再会。すぐに意気投合したふたりは、
錬金術とはなにかという命題について語り明かし、さらなる高みを目指すため、
連れだってザールブルグへの帰途につきました。

 エルフィールは街に帰ったらお店を開くことに決めていました。工房になる建物も見つけてあります。
小さな工房だけど、手入れの行き届いた夢のあかし……。
 エルフィールは、希望に満ちた第一歩を踏み出そうとしていました。
 ところがザールブルグでエルフィールを待っていたのは空っぽの工房。調度品から材料、
道具からしっかりためていたお金まで、なにもかもなくなっていたのです。
家主が留守なのをいいことに、盗賊が一切合切を持っていってしまっていたのでした。

 しばし呆然とするエルフィールでしたが、
きまぐれな運命はまだ彼女を見捨てたわけではありませんでした。
ケントニスアカデミーの使いだというフューレンという男があらわれ、こう言ったのです。
「原初の炎と呼ばれる、幻のアイテムがあります。このアイテムを3年のうちにつくってくださるのなら、
アカデミーにはあなたに基本的な調合道具と当面の資金をお貸しする用意があります」
 エルフィールの横で話を聞いていたマルローネも言いました。
「一緒にやらせてくれない、エリー? あたし、ザールブルグで何をやるか具体的には決めてなかったし、
あたしも、その調合に挑戦してみたいんだ。……もちろん、エリーがいいって言ってくれたらだけど」
 もちろん、エルフィールがこの申し出を断ろうはずがありません。

――こうして、ふたりのアトリエ運営が始まったのです。